著者
門田 誠一
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-76, 2013-03-01

紀年銘のある高句麗の金銅仏として知られる延嘉七年己未銘金銅仏に関して、従来は紀年の比定が論究の中心であった。これに対し、近年、釈読の進められている中国北朝代石窟の千仏図像の傍題に関する研究によって、千仏図像がいくつかの仏典に依拠することが明らかになってきた。それらは主として仏名経類であり、その内容が千仏図像として可視化されている。いっぽう、延嘉七年己未金銅仏銘文には「第廿九因現義仏」の語があり、これは仏名経の一つである『賢劫経』にみえる仏名であることが知られている。この仏像の制作年代は六世紀代とみられており、この時点で仏名経類に基づく仏像表現は敦煌莫高窟などの北朝石窟に限られることから、延嘉七年己未金銅仏銘文によって同様の信仰を実修していたことが明らかな高句麗の仏教が北朝の影響下にあったことを論じた。

言及状況

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編集者: TEN
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