著者
小川 一美
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-36, 2006-09-30

本研究では,2者による自然会話場面を,「テキスト条件」「テキスト+交替潜時条件」「音声条件」「ビデオ条件」という4条件で呈示し,手かがり情報の相違が印象形成に及ぼす効果を実験を通して検討した.社会的存在感理論(Short et al., 1976)などに基づき,「ビデオ条件」>「音声条件」>「テキスト+交替潜時条件」>「テキスト条件」の順に会話者に対する親しみやすさや魅力が高く評価されるという仮説を設定した.実験の結果,「ビデオ条件」が「テキスト条件」や「テキスト+交替潜時条件」よりも個人的親しみやすさが高く評価され,この仮説は部分的に支持された.他にも,「テキスト条件」と「テキスト+交替潜時条件」よりも「音声条件」および「ビデオ条件」の方が社会的望ましさが高く評価されること,そして,音声情報が手かがりとして加わることによって会話の速度や反応の速さに関する側面の印象が変化するといった結果などが得られた.

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