著者
森田 笑
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.42-54, 2008

本稿は自然な会話のデータをもとにして相互行為助詞「ね」を会話の展開の中で詳細に分析し,「ね」が相互行為の構築にどのように関わっているかを探る.発話の継ぎ目に起こる問題を観察することで,「ね」が行為の区切りをマークし,相互行為において参加者の「協調」がそこで取り立てられていることがわかる.「協調」とは行為をインタラクティブに達成するために志向される最も根本的な秩序である.それを明示することによって参加の枠組みを構築するのに用いられる「ね」は,相互行為の組織に欠かせない資源である.またこのような「協調」の明示というプラクティスが,これまで「ね」について言われてきた「共通の感情」,「丁寧さ」,「馴れ馴れしさ」または「女性らしさ」など,語用論的,社会言語学的な解釈にどのように結び付くのかを検討する.

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