著者
沖 裕子
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 (ISSN:2186134X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.77-94, 2013-05

東京式アクセント言語ではアクセント,イントネーションはともにピッチ変動による超分節的単位であるが,イントネーションはアクセントより上位に位置し,語アクセントにかぶさり,語に付帯するアクセントを弱化もしくは除去する力をもっている。アクセントが語に付帯する所与の単位であるのに対して,イントネーションは,記号列の意味に随伴し,談話表現において話し手が意図的,選択的に使用しうる単位である。イントネーションの働きは,(1)句音調と(2)句末音調に大別される。(1)は記号列の意味的まとまりを表現する機能,(2)は記号列の有する知的意味に話し手の発話態度というモーダルな意味を加算する機能を有している。話し手は,句音調によって音調句を表現しつつ談話を推進させていく。この音調句末において,話し手は,句末音調による表現を記号列による表現に加算することができる。有標となる句末音調の音韻的形式には,/上げ・平ら・下げ/の3種がある。これら3種の句末音調には,それぞれA種とB種がある。A種とは,句末拍とその手前の拍との高さの関係で/上げ・平ら・下げ/が決定される形式,B種とは,句末母音の伸長による漸次的高さの方向性で,/上げ・平ら・下げ/が決定される形式である。A種はプロミネンス,B種はインテンシティの働きによる。表現的圧力がかからない無標の形式では,アクセントがそのまま顕現する。表現的圧力がかかる場合,句末音調は,(i)A種のみ,(ii)B種のみ,(iii)組み合わせ,として結節される。(iii)には,A種とB種,B種とB種の組み合わせがある。

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