著者
山科 健一郎
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.103-114, 2013-03-29

桜島火山の噴火活動について見通しを得るため,北部鹿児島湾とほぼ位置が重なる姶良カルデラの周りの地殻変動について,特に水準点2474番と2480番の相対的な高さの変化に注目して検討を加えた.この区間では,これまで注目されることがほとんどなかったが,1914年の桜島火山の大きな噴火に先立って明瞭な膨張が生じていたであろうことが確かめられた.これにより,大きな噴火に先立って姶良カルデラ地下に蓄えられたマグマの1914年時点の限界量が推測される.1914年の噴火によって姶良カルデラでは顕著な収縮が生じたが,その後膨張が進んで1900年(大噴火まで14年)の水準を超え,1970年代初め頃には1914年の限界値にかなり近づいたと考えられる.桜島では,1970年代から80年代にかけて爆発的活動が活発に続いた.この期間,姶良カルデラの膨張は停滞およびやや後退していたが,桜島の爆発的な活動が低下すると再び変動が進み始めた.近年,ここで推測された1914年の限界値にさらに近づきつつあり,大きな噴火の可能性があり得ることを示している.一方,姶良カルデラ地下のマグマ量の増減と桜島からの噴出物量の収支については課題があり,今後の検討に委ねられる.

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CiNii 論文 -  120年間にわたる姶良カルデラの膨張収縮過程と桜島火山における大きな噴火の可能性(<特集>桜島火山) http://t.co/ZxSxWhPQBd #CiNii

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