著者
藤井 仁奈
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.77-97, 2011-03-15

シェイクスピアの『ハムレット』に登場するオフィーリアは、「恋人への献身を最も完璧に立証する」狂気と死を表現する乙女として、19世紀の多くの画家によって描かれる。同時代に、ランボーは詩「オフィーリア」を完成させる。オフィーリアが(『ハムレット』にはない)百合やヴェールに喩えられ、純潔と死を象徴することは、この詩の1節を中心に読み取れる。続く2節では、彼女の狂気に陥った原因が、自ら夢を求めたことに由来することが明らかになる。彼女は、自ら夢を求めるがゆえに狂気に陥り、「黒い波のうえ」を永遠に漂う、ランボー独自の創造物として描かれる。彼女の狂気の原因が当時の倫理観や価値観から逸脱しているという意味で、ランボーのオフィーリアは、(「狂気の処女」を含めた)『地獄の季節』の語り手と軌を同じくする。この小論では、ランボーの「オフィーリア」の独自性を指摘し、後年書かれる『地獄の季節』へと通じる点を指摘したい。

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