著者
杉山 岳巳
出版者
人間・環境学会
雑誌
MERA Journal=人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-10, 2001-11-10

環境の持続可能性に関する研究はこれまで環境の生物・物理学的特性に注目したものが多く、その社会的側面は無視される傾向にあった。しかしながら、私たちの住む世界は人間によって支配されており、私たちの環境に対する認識や行動が環境の保護や利用に大きな影響を与えることは明白である。つまり、持続可能性の概念は生態学的なシステムだけではなく社会的システムにも大きく関わっているといえる。そこで本研究では環境行動学と環境の持続可能性に関する最近の文献から、持続可能性をめざしたデザインの認識的側面の重要性について議論し、この分野における研究の必要性を説明する。次にこの研究テーマを議論するための新たな概念的モデルを示し、研究を可能にするためのツールとして環境選好(プレファランス)の概念について検討する。プレファランスはある環境に対する個人の好みの度合いを問うものであるが、これまでに景観などの分野において人と環境との相互作用に関して有用な情報を提供してきた。しかし、持続可能性をめざしたデザインのプレファランスに関連する研究はこれまでほとんど行われていない。本研究はプレファランスの概念をもとに持続可能性をめざしたデザインの認識的側面において今後の検討に値するいくつかの研究課題を指摘するものである。

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