著者
伊佐 迪子
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.151-168, 2014-03-01

本編では二条院讃岐の四十五歳から四十六歳までの実人生を検証した。鎌倉幕府成立後の朝廷は頼朝の意向に従い、頼朝の度重なる意向で兼実に摂政が宣下された。それにつれて兼実息の良通には内大臣を、次男の良經は二位の中将へと昇進し、兼実家は家門の繁栄を見ることになった。一方では姫君の入内を念頭に、兼実は入内の際に対応できる兼実家の家経営を整えた。篤い信頼を置く讃岐の働きに期待して、対内的には「家宣旨」に付け、対外的には女房政所の長として「北政所」に付けた。このように内外ともに兼実の秘書役として、讃岐は期待され大役を担うことになった。しかし、兼実の体調不良に加えて良通の健康状態もまた不安定であり、兼実家を支える讃岐は更に重責を負うことになった。それらを見通しているのであろうか、讃岐と良通との間柄はお互いに相手を思いやって接触を保っているように見受けられる。

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CiNii 論文 -  二条院讃岐の実人生(四) : 後半生を中心に https://t.co/olrEdc4ckb 篤い信頼を置く讃岐の働きに期待して、対内的には「家宣旨」に付け、対外的には女房政所の長として「北政所」に付けた。このように内外ともに兼実の秘書役として、讃岐は期待され大役を担うことになった。

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