著者
鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.129, pp.95-100, 2013-07-11

TCP/IP技術に基づくエンドツーエンドのパケット交換を原理とする現在のインターネットは、極端に長い伝搬遅延、頻繁なパケット損、間欠的な通信リンクなどが発生する劣悪な状況においてはきわめて通信効率が悪い。惑星間インターネット通信を起源の1つに持つ遅延耐性ネットワーク:DTN (Delay Tolerant Networking)は、このような環境でのエンドツーエンド情報伝達を効率的に実現するための技術や枠組みを指し、Dの意味として、Disruption, Disconnection, Disaster等を取りこみながら情報伝達システム設計の可能性を広げ、実用的必要からも理論的興味からも多様な研究が続けられてきた。Challenged networkingやOpportunistic networkingなどの側面において共通的な要素技術は、時間的不連続性や空間的不連続に対応するためのネットワーク内部における情報の蓄積形転送(待機&転送)と蓄積運搬形転送(物理的移動&転送)およびそれらと連携した情報符号化であり、それらの技術は通常のネットワーク環境においても有効性が認識されてきた。特に最近は、個別のアプリケーションにおける要素技術として高度な適用と実用化が進んでいると同時に、極めて多様な有無線が統合された今後のインターネットを資源効率よく実現する情報流通アーキテクチャとしての発展も期待されている。本講演では、これまでのDTNの研究やアプリケーションを簡単に紹介すると共に、新世代インターネットに向けた様々な技術進展の中でのDTNの行く先を議論する。

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