著者
古谷 健司 小池 正雄
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.43-54, 2012

本稿は戦後復興期以降の白樺湖周辺における観光開発の展開に考察を加え,在来住民と移住者による観光開発が地域にいかなる影響を与えたのかを明らかにすることを目的としている。白樺湖周辺の観光開発の展開過程を,戦後復興期,高度経済成長期,成熟期,現代の4段階に分けて検討した。その結果,(1)柏原区民の内発的発展を目指す姿勢と共同体としての開発の限界,(2)柏原区民による財政強化と柏原区民への分配機構の整備,(3)開発主体不在の中での乱開発による白樺湖の環境悪化,(4)成熟期より拡がりつつあった在来住民と移住者の軋轢,が明らかとなった。とくに白樺湖周辺における地域社会での連帯と協調性の欠如を生み出した財産区という村落共同体の存在が大きい。

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