- 著者
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齋藤 瞳
佐藤 豪
- 出版者
- 一般社団法人日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.8, pp.774-785, 2014-08-01
交流分析理論に基づき,大学生における自我状態・透過性調整力および基本的構えと精神身体症状の関連について明らかにすることを目的とした.大学生169名(男性143名,女性26名)を分析対象とし,自我状態および透過性調整力を測定するPCエゴグラム,基本的構えを測定するOKグラム,精神身体症状を測定するHopkins Symptom Checklist(HSCL)を施行した.その結果,自我状態に関しては特に批判的な親の自我状態である"Critical Parent(CP)"と自由な子どもの自我状態である"Free Child(FC)"が精神身体症状に正の影響,自我状態を切り替える力とされる透過性調整力"Permeability Control Power(PC)"と基本的構えの"自己肯定の構え"と"他者肯定の構え"は精神身体症状に負の影響があることが示唆された.またFCは,特に大人の自我状態であるAdult(A)が低い場合に精神身体症状と関連があることが示された.以上より,大学生においては,透過性調整力や自己肯定の構え・他者肯定の構えはストレスコントロールを高める働きをするのに対し,CPの自我状態,およびAの自我状態が機能しない場合のFCの自我状態が,ストレスを症状化する方向へ働く可能性が考えられた.