著者
深津 容伸
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-8, 2014

キリスト教には、初代キリスト教の段階で適応主義を取る者たちがおり(その傾向はイエス・キリストの活動の中にすでに見られるものである)、彼らは異邦世界で生まれ育ったユダヤ人たちだった。彼らはユダヤ教徒であったが、イエス・キリストを信じる信仰に生き方を変えられ、ユダヤ教の戒律(律法)による生き方を否定した。このことによって、キリスト教はユダヤ教から脱し、異邦世界へと大きく発展することになる。その広がりの中で主要な役割を担い、キリスト教の理論的基礎を築いたのがパウロだった。彼はギリシア世界への伝道者、使徒としての使命への自覚のもとに、伝道に乗り出していく中で、ガラテヤ人と出会う。彼らはヨーロッパのケルト民族のガリア人の移民を先祖としていた。本稿では、彼らへの手紙である「ガラテヤの信徒への手紙」を通し、パウロの適応主義がいかなるものであったかを探る。そしてそのことによって、日本におけるキリスト教のあり方へと指針となるような考察をしていきたい。

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