著者
田中 千晶
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.14-25, 2007-02-10

鈴木三重吉は、どのような<古事記>を参照して『古事記物語』を執筆したのか。発刊以来長期間に渡り広範囲の年齢層に受容され続けている『古事記物語』は、児童向け『古事記』に与えた影響を考えるとき享受史において重要な意味をもつ。本稿では、古事記研究と児童文学研究の狭間で特定が困難であった同書の参照本を、本文異同の手法、三重吉の周辺や当時の新聞広告を探ることで渋川玄耳(しぶかわげんじ)『三體(さんたい)古事記』と特定し、近現代における<古事記>享受と『古事記物語』研究の進展に繋げた。

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