- 著者
-
金 海峰
- 出版者
- 日本財務管理学会
- 雑誌
- 年報財務管理研究
- 巻号頁・発行日
- no.22, pp.94-102, 2011
自己株式取得による資本政策の利用が本格化したのは,この平成13年商法改正の自己株式取得全面解禁以降である。この改正により,自己株式の取得・保有,処分,消却は企業の裁量に委ねることとなり,企業の利益重視経営から資本効率化経営へと転換を促し,企業の資本制度に大きな変化をもたらした。本稿では,平成13年改正前の旧商法までの自己株式の取得について原則禁止の理由を理解しつつも,自己株式制度の歴史的変遷を検討するとともに,上場企業全体の平成7年から平成21年までの自己株式の取得実態について考察した。特に,株主総会決議による自己株式取得と取締役会決議による自己株式取得の比較分析によって自己株式制度の変遷に伴い自己株式の活用が有効な資本政策として定着していることを解明したのである。