- 著者
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大杉 重男
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.1, pp.61-70, 2005
保田与重郎の戦後最初の評論「みやらびあはれ」において、その標題になっている「みやらびあはれ」という語は、第二次世界大戦の敗北によって日本の領土から沖縄が暴力的に奪い取られたこと、引いては日本の敗戦そのものに対する保田の表象不可能な「断腸」の思いの合言葉として展開されているが、それをよりテクストに密着して解釈を進める時、この合言葉は保田の意図を超えた複数の様々な暴力の合言葉として読めて来ることを論じる。