- 著者
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葛綿 正一
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.5, pp.32-39, 2003-05-10
大陸の文明を模倣しつつ列島に庭園が作られる。それは王のシンボルともなるわけだが、漢詩文や和歌、管絃や芸能は庭園と不可分の関係を保ってきたといえる。本稿は平安朝の仮名散文を中心に庭園の諸相を考察したものである。うつほ物語は三奇人を排除しつつ、庭園を通して秘琴の卓越性を提示していた。それに対して、枕草子や源氏物語はそれぞれ機知と情動において庭園をめぐる新たな詩学を実践していたと考えられる。