- 著者
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中山 弘明
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.34-44, 2001
第一次大戦は「海の彼方」の出来事として、日本の言説に関しては等閑視されがちだ。しかしそれは<経済>のレベルで確実に日本を巻き込み、危機的状況を現出させた。本稿は所謂「米騒動」の時代に焦点を当て、当時詠まれた多くの短歌を調査、検討した。特に「東京日日新聞」に連載された安成二郎の歌々を、危機の時代の「落首」として考察してみた。こうした作業を通じて、<文学>と<経済>がリンクしつつ発動させる力学を析出した。