著者
窪 幸治
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.223-236, 2015-03-01

本稿は、拡大を続ける電子商取引のプラットフォームである、インターネットショッピングモールサイトの運営者が、同サイトに出店するショップの顧客に対していかなる義務を負うかについて、若干の検討を加えることを目的とする。すなわち、従来、モール運営者はショップと顧客の取引がなされる「場」を提供する者であると理解され、あまり認識されてこなかった顧客との利用契約上の義務について検討する。結論としては、ショップ-顧客の取引がモール運営者の構築・提供するシステム利用を前提とすること、非対面であるインターネット取引の特性の考慮から、モール運営者には顧客とのシステム利用契約上の義務として、一定の技術水準確保及びショップへの監督を通じ、安全な取引環境を整備する義務を観念しうると考える。具体的には、契約の相手方選択の自由を損なわないよう契約過程を管理し、情報の正確性等に疑義が生じている場合に、ショップに対して監督する義務などが指摘できる。

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