著者
白石 哲郎
出版者
佛教大学
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-16, 2015-03-20

人類学者であるC. ギアーツが先鞭をつけた「解釈学的転回」は,とりわけ文化を分析の主軸に据える後期近代の社会科学者に多大な影響をもたらし,「文化的転回」の潮流を生む契機となった。「社会的なものから文化的なものへ」というパラダイム・シフトは,意味の社会学(意味学派)をはじめ,同時期に台頭した他の人文・社会科学にも共通して認められる傾向である。一方で,文化的転回と通底する問題群に関し,いちはやく定式化に努めた社会学者がT. パーソンズであった。彼自身が「文化の社会学」の名でさらなる純化を志向した行為システム論は,「文化システムと社会システムの相互依存と相互浸透の分析」に動機づけられており,その問題関心自体は,普遍的な妥当性をもつものとして評価すべきである。 しかしながら,社会構造の均衡を重視する機能主義的パラダイムに立脚しているがゆえに,また分析的リアリズムの姿勢に徹しているがゆえに,パーソンズの文化概念は「二重の現実遊離性」を孕んでおり,文化と社会をめぐる今日的状況の分析にそのまま援用することは困難である。 本稿の目的は,「文化的転回」を構成する三つの次元のうち,文化の概念規定次元からパーソンズの「文化の社会学」を再定式化することにある。本論では第一に,ギアーツにも影響を与えたS. K. ランガーやE. カッシーラーのシンボル概念に関して,社会科学における文化概念としての有効性を吟味し,第二に,カルチュラル・スタディーズの抗争的かつ流動的な文化理解を摂取することで両名のシンボル概念のさらなる補完を試みる。このような段階的,連続的な取り組みは,パーソンズの文化概念が抱える陥穽の超克を企図したものである。

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[社会学] 誰か読んどいて。
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