著者
新井 哲夫
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.27-44, 2014

本稿の目的は,創造美育運動に関するイメージの混乱を整理し,事実に即したより正確な定義を導くことにある。そのために,これまでに流布している創造美育運動に関する代表的な4つの言説を取り上げ,文献資料及び先行研究の成果に基づいて検証することにより,事実関係を明らかにすることを試みた。その結果,「(1)創造美育運動とは,創造主義美術教育を啓蒙,普及しようとする明確な意思に基づいて行われた,戦後の日本における美術教育の改革運動であり,その組織や運動の形態には創造美育協会設立の前と後とで質的に大きな相違がある」こと,及び「(2)創造美育運動の基本理念である創造主義美術教育は,久保貞次郎が欧米と日本の児童画の比較研究から得た知見をもとに,ホーマー・レイン,フランツ・チゼック,北川民次らの思想や実践に学び,構築したわが国固有の児童中心主義の美術教育である」ことを明らかにした。

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