著者
黒石 陽子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.13-22, 1995

「義経千本桜」序切で自害する卿の君は頼朝と義経の不和の中で自己犠牲によって義経を救おうとした女性である。浄瑠璃作品の中で頼朝・義経の不和に関して卿の君という女性が重要な人物として登場するようになったのは享保から延享・寛延期、つまり近松没後の合作期であった。卿の君という存在がこの時期の作者によって発見されたことにより、作劇における新たな枠組みが作られ、頼朝・義経の不和劇に深い解釈を与え、新しいドラマを生み出したといえる。頼朝が義経の討手を出した堀川夜討に関して『吾妻鏡』流布本『平家物語』『源平盛衰記』の記述から謡曲、幸若舞曲、古浄瑠璃、近松以降の浄瑠璃における描かれ方を検討し、合作期の浄瑠璃が発見した卿の君-その作劇の枠組みとしての意味-について検討する。

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こんな論文どうですか? 合作期浄瑠璃が見出した「卿の君」 : 頼朝・義経の不和をめぐって(<特集>近世・想像力のフレーム)(黒石 陽子),1995 https://t.co/S33YCXaEw9

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