著者
鳥居 明雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.30-40, 1989

流離と場所愛(トポフィリア)のトポスである河原院の造営と伝領に関して、源融と宇多院との間に交わされる葛藤は、王権イデオロギーをめぐる怪異譚として説話化されている。この王朝期の融伝説を中世期において受容し、あらだな展開相を拓いたのが世阿弥作の「融」であった。「融」は、河原院を媒介として美的規範を占有しようとする足利義満の要請を底流にして、義満に奉仕する世阿弥の猿楽芸能者としての立場を明らかにするものである。

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