- 著者
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富岡 宏太
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.4, pp.1-15, 2014-10
中古和文において、体言に詠嘆の終助詞カナ・ヤが下接した「体言カナ」・「体言ヤ」には、連体修飾を必須とするという構文上の共通点と、その形式が異なるという相違点のある事が従来指摘されている。本稿では両者の表現性の違い、表現性と構文との関係を明らかにした。「体言カナ」が聞き手の属性を問わず、時間軸上の様々な位置にある事態に言及できるのに対し、「体言ヤ」は上位者には用いられず、ほとんどが現在の事態に言及した例である。以上から、「体言カナ」は様々な事象を考慮した「論理的評価の表明」の表現、「体言ヤ」はそれらを考慮しない「直感的評価の表明」の表現であると考えられる。また「体言カナ」「体言ヤ」の表現性と構文とは密接な関係にあると考えられる。