- 著者
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銭谷 真人
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.4, pp.48-66, 2014-10-01
明治33年の小学校令施行規則において平仮名の字体が定められる以前から、既に文学作品などの出版物において、字体は収斂していく傾向にあった。本稿においてはそれが出版物全般に見られる現象であったのかを、明治期の代表的な大新聞の一つである『横浜毎日新聞』を調査することにより検証した。また使用できる字体が制約される活版印刷の導入が、仮名字体にどのような影響を及ぼしたかについても考察を加えた。使用される活字を基準に調査を行った結果、やはり字体は統一される傾向にあったことが判明した。ただし単純に時代が下るにつれて収斂していくのではなく、場合によっては字体数が増加することもあった。そしてそれには使用される活字が大きく関わっていることが考えられた。また字体の選択には仮名文字遣いも関係しており、使い分けのある、あるいはかつて使い分けのあった字体が最後まで用いられ続けたものと考えられた。