著者
石賀 裕明
出版者
ペドロジスト編集部
雑誌
ペドロジスト (ISSN:00314064)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.81-83, 2014

松江は水の都と呼ばれ,松江城を中心として堀や水路(かつての運河)がある。これは松江が中海と宍道湖という湖の中間に位置するため,歴史的に水運を活用したことによる。しかし,一方では土地が低いために,たびたび洪水に見舞われることが多かった。宍道湖には斐伊川が流入しており,現在でも大雨時に市内でも浸水することもある。1972年(昭和47)年7月の水害は規模も被害も大きかったと言われる。最近では2006年(平成18年)7月にも市内で浸水が生じた。斐伊川は江戸時代の初めまでは西に流れ日本海に直接注いでいたが,出雲平野の発達とともに流路を東に変え宍道湖に注ぐようになった。この結果,宍道湖は汽水湖となるとともに,中海へも大橋川を通じて塩分濃度の低い水塊が流入するようになり,環境の変化が生じた(徳岡ほか,1990)。このような斐伊川の河道変遷に関連するのが上流域で活発に行われた「たたら製鉄」である。宍道湖・中海の環境は河川上流の地質や人間活動と深くかかわりを持っていると言える。松江周辺は地層や岩石の露出が非常によく,車で20分の距離のところで日本海の海岸に到着できる。また,大山や三瓶山が近くにあり,自然の観察の場としては恵まれている。三瓶山の麓の「石見銀山」は2007年に世界文化遺産に登録された。島根では山陰・島根ジオサイト地質100選が進められネット上で公開されるとともに,2013年には「島根の大地 見どころガイド」として出版された。また,隠岐の島は隠岐ジオパークとして日本ジオパークネットワーク加盟認定後,2013年9月に世界ジオパークネットワークへの加盟認定がなされた。ここでは島根県東部の地質と資源,人間活動の歴史について触れることとする。

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