著者
生形 貴重
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.29-40, 1987

「平家物語」の叙述構造は、可視的世界(顕界)と不可視的世界(冥界)との両者に光をあててこそ、その姿を正しくとらえることが出来る。その観点から物語を分析すると、「平家物語」には、清盛→重盛→頼朝という「日本国の大将軍」の移行という構想がうかがえ、それは、生命力の衰弱したこの世界(末法世界)を、冥界からアラブル神の龍神が侵犯し、再生させる過程として顕界に表現される。その構造を明らかにすることは、またこの物語のモノガタリたる性質を、作品論として解明する手がかりとなるであろうと思われる。

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