著者
清水 禎文
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.143-149, 2004

近代とは、認識論に基因する新たな人間像の提示、またその人間像に基づく人間的諸権利の発見及びその制度化への努力であった。それは本質的には、人間に自由をもたらす解放の理念であった。しかし、当初の理念が希薄化し、官僚化した制度のみがひたすら合理化へと向かうなかで、最終的には意味の失われた「鉄の檻」に至るというアイロニーをもたらした。新たな認識論上の革命でもないかぎり、そこから逃れることはできない。こうした状況のなかにあって、実践的な課題としては、認知のみならず身体に刻み込まれる習熟と模倣、あるいは関係性と自己創出は、新たな教育を切りひらく有効な手段となりうるであろう。

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