著者
原水 民樹
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.2-12, 2009

最初に、従来の作者伝を振り返り、ついで、物語が採り込んだ説話・伝承の生成・管理圏に関する研究史を展望し、その後、為朝英雄化・崇徳院鎮魂の視点から検討した。結果として、生成の場としては、半井本の場合、怨霊に戦いた記憶が比較的純粋に保たれている環境、金刀本の場合、崇徳院の悲境を詠嘆的に捉える立場、及び足利氏為朝後裔説と通底する土壌が想定されることを述べた。さらに、異本普及の度合いが、時代の要請の反映度と係わるのではないかということを考えた。

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