著者
石島 健太郎 伊藤 史人
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.82-93, 2016

本研究は,意思伝達装置を用いるALS患者204人を対象に,複雑な条件組み合わせと結果の関連を明らかにすることができるファジィセット質的比較分析(fsQCA)を用いて,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者が意思伝達装置を用いる際,どのような条件がそろえば満足度が高まるのかを明らかにするとともに,社会福祉学でのfsQCAの有効性を示すことを目的とする.分析の結果,重度障害者でも意思伝達装置を満足度の高い利用方法が複数示唆され,かつ年齢や同居する家族の有無に応じて支援すべき方向性も異なってくることが明らかとなった.こうした知見は,ケースワークにおける個別性の原則を経験的に確かめるものであるとともに,実践的には支援者が患者の属性を踏まえた意志伝達装置の利用促進に示唆を与えるものである.また,無作為抽出が困難で,さまざまな条件が複雑に関連した事例の多い社会福祉学でfsQCAを用いる意義も示された.

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ここぞとばかりに宣伝ですがQCAにご興味がお有りの向きは、石島・伊藤(2016)https://t.co/Jk4T5nlxzz を是非。抜刷お送りいたしますので何卒。実際のデータでfsQCAした日本語で(たぶん)初の論文です。

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