著者
松名 隆
出版者
室蘭認知科学研究会
雑誌
認知科学研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.11-29, 2007

本稿は、イオル(iwor)というアイヌ語について、その意味するものを先ず文献的に辿り、さらにそれが今日の私たちに提起する問題を、二風谷ダム訴訟を提起した故・萱野茂氏( 2006 年逝去) と故・貝澤正氏( 1992 年逝去)( 以下敬称略) の言説を踏まえながら考察したものである。最初にイオルの概念について、アイヌ- カムイという対照概念が示すアイヌの世界観を踏まえて、その意味を諸文献の検討から確認し、次に、北海道におけるイオル解体の歴史的検討を行い、それと関わるニ風谷ダム裁判判決において認定されたアイヌの文化享有権について、イオルの視点からその問題点を指摘し、さらに上記のお二人が遺した言説を取り上げつつ、イオルの新しいあり方についての筆者の提言を表明する。

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" これらの霊こそわれらの神だ。われわれが神に祈り、供物をささげるのも、必要に応じて、神の助けを求めたいからだ。」われわれは白人が考えているように、ひとつの大御霊だけを信じてはいなかった。神々によって力の差があると信じていた。"https://t.co/wOjVGI4V7W
"父は、私にこう説明した。 「この世におけるあらゆる物は、魂とか霊を持っている。天には天の心霊、雲には雲の心霊、太陽も月も動物も、木も草も水も石もあらゆるものに霊がある。…"https://t.co/wOjVGI4V7W
"これは、C.ハミルトン(1993)が紹介する次のようなネイティブ・アメリカンの言説とも相通じるものである。 われわれヒダッツァ族は、この世とこの世にあるすべての物は、生命と霊を持っていると信じていた。こうした諸霊への信仰と崇拝が、われわれの宗教を 創った。"https://t.co/wOjVGI4V7W
"このように、アイヌにとってのカムイとは、生命体、非生命体を問わず、人間をとりまく自然一般を示すものあり、それを人間と同じ精神的存在として認識することによって、絶対者としての一神教における「神」とは異なったものとして考えられている。"https://t.co/wOjVGI4V7W
"生物ばかりでなく、火(アペフチカムイ→萱野)や雷(カンナカムイ→萱野)などの自然現象もまたカムイであり、精神を持つものとして考えられている。"https://t.co/wOjVGI4V7W
CiNii 論文 -  イオル考 (萱野茂博士追悼特集) https://t.co/wOjVGI4V7W #CiNii

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