著者
大倉 浩
出版者
筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科日本語学研究室
雑誌
筑波日本語研究 (ISSN:13424793)
巻号頁・発行日
no.8, pp.158-147, 2003

『祝本狂言集*1』は、成立年代や筆者はともに不明ながら、流派分化以前の狂言の姿を残す貴重な台本と見られる。前稿に引き続き祝本の六つの曲について他の狂言台本と比較した。内容面で全体的に近似した狂言台本は見いだすことは出来なかったが、部分的には和泉流天理本との類似だけでなく、天正本と関連するような「ぶす」、これまでには見られなかった鷺流保教本との類似が見られる「賽の目」「雁礫」など多様であった。また、用語の面では、近世初期の虎明本・天理本と共通する語法(「な」、感動詞「じゃ」、接続形式「うば」など)が確認できた。さらに、虎明本・天理本にない「仕舞ばしら」「つれまい」「めぎららぎ」など、狂言記と共通するような近世的な用語も見られた。

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