- 著者
-
茂木 清夫
- 出版者
- 東京大学地震研究所
- 雑誌
- 東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.419-427, 1969-06
Monthly distributions of small and large earthquakes in the Japanese region are discussed based on recent seismic data. Smaller earthquakes do not show any systematic annual variations. But large earthquakes with magnitude 7.5 and over occurred concentratively in some limited seasons and the active season is different in the two adjacent active regions. This regularity of large earthquakes in the Japanese region is confirmed by historical earthquake data. Regarding all the large earthquakes in the Northern and the Southern Hemispheres, no systematic annual variations can be concluded. This is not inconsistent with the above-mentioned regional regularity.|地震の頻度が季節変化を示すということが大森やDavison,その他の多くの人によって報告されているが,近年この問題を論じたものはほとんどみられない.この問題を論ずるには,信頼すべき資料にもとづいて,適切な解析を行うことが重要であるので,最近の高精度の地震資料によって再検討を加えることは有意義である.今回の結果によると,大森やDavisonらの指摘した規則性は認められないが,日本付近の大地震について,極めて著しい季節的集中性があることが見出された.要約すると,1.日本各地の小さい地震については,一般に,有意な季節変化は認められない.2.1920年以降のM7.5以上の大きい地震は特定の季節にのみ集中して起こる傾向がみられる.この傾向は,1600から1919までの大地震(M7.9以上)についても認められ,その集中性は統計的に有意である.その活動の季節は場所によってちがい,大きい地震は,北海道・三陸の太平洋側沖合では2月から5月まで,とくに3月に集中し,宮城県沖から関東・東南海道にかけては9月から1月まで,とくに12月に集中して起こった.3.世界中の大きい地震については,南北両半球の大きい地震がとくに夏に多いという規則性(Davisonによる)は認められない.