- 著者
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伊集院 武文
- 雑誌
- 長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.3, pp.180-187, 1961-09-23
日本に於ける糸状虫の分布の現状を知る目的で全国の陸上自衛隊27駐屯部隊々員についてミクロフイラリア検索を行い,次の結果を得た.1)被検者24,396名中111名,0.45%にミクロフイラリアが証明された.2)仔虫保有者が発見されたのは17部隊で,出身県別にみると鹿児島,長崎,熊本,大分,宮崎,福岡,佐賀,山口,愛媛,高知,群馬の11県である.3)1912年の陸軍医務局の調査成績と比べると,きわめて低率で,全国的にその感染率は低下の傾向がうかゞわれるが,鹿児島,長崎,熊本の各県では今尚濃厚な浸淫が存在する.4)新しく,山口県の宇部市,群馬県吾妻郡中の条町の出身者に仔虫保存者を得,同地方に局所的の浸淫があることが想像される.5)自衛隊は糸状虫症の蔓延の新しい足場として疫学的の意義が大であり,今後の対策が望まれる.稿を終るに臨み,御指導,御校閲を頂いた北村精一学長,片峰大助教授に感謝の意を捧げる.又調査に際して御援助と御鞭撻下さった陸上自衛隊熊本地区病院,加藤祐太郎一佐及び各駐屯部隊幹部諸氏に厚く御礼を申上げる.Surveys of microfilaria carriers among the soldiers of Self-Defence Forces in Japan were made for a period from 1954 to 1961. Three thick films were prepared from the blood, amounting to about 20 cmm, taken from the ear-lobe at night, from 10:00 to 12:00