著者
伊藤 勇
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
no.74, pp.83-104, 2003

シンボリック相互行為論(SI)の自己刷新の試みとして、ノーマン・デンジンを取り上げる。デンジンによれば、現代社会学において、SIほど解釈的志向を鮮明に打ち出し、質的方法を活用して人びとの意味世界や生きられた経験のフィールド研究に専心してきた学派は他にない。しかし、こうした誇るべき特長をもつSIも、後期資本主義の深化する現在の歴史局面(ポストモダン)において、人びとの経験と行動の問題に取り組もうとするならば、科学、言語、文化・コミュニケーション、知と権力に関する基本観点で克服すべき重大な弱点を抱えている。その点でSIは、ポスト構造主義やカルチュラル・スタディーズに多くを学ばなくてはならない。その上で、デンジンは、SIの特長を組み込み、ポストモダンの時代と思想に呼応した新たな研究プログラムとして、「相互行為論的カルチュラル・スタディーズ」を提起した。それは、デンジン自身を含む従来のSIからの大きな転回を意味する。ここでは、『シンボリック相互行為論とカルチュラル・スタディーズ』(1992)を主要テクストとして、そのSI批判と新研究方針のポイントを確認し、彼の転回の意義を考える。

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まさか伊藤先生の論文も入っていたとは・・・ RT @ronbuntter こんな論文どうですか? シンボリック相互行為論からカルチュラル・スタディーズへ―N.K.デンジンの転回―(伊藤勇),2003 http://id.CiNii.jp/F8aIM
こんな論文どうですか? シンボリック相互行為論からカルチュラル・スタディーズへ―N.K.デンジンの転回―(伊藤勇),2003 http://id.CiNii.jp/F8aIM

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