- 著者
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柴田 美紀
柴田 美紀
- 出版者
- 琉球大学法文学部国際言語文化学科欧米系
- 雑誌
- 言語文化研究紀要 (ISSN:09194215)
- 巻号頁・発行日
- no.17, pp.75-95, 2008-10
2008年1月25日より2月2日まで香港大学、香港中文大学、香港教育大学を訪問し、教員養成プログラムに携わる教員へのインタビューや授業参観を行った。香港政府は、教科に関する専門知識、英語力、授業運営能力をバランスよく身につけた英語教員の養成に力を入れている。英語教員になるためには大学で英語教育を専攻し、言語、語学教育、指導理論を徹底して学び、同時に政府が課している語学能力試験に要求される英語力もつけなければならない。私が視察した3大学では入学時に英語力による選抜が行われるため、学生はある程度の英語力を持って入学してくる。英語専攻においては大学の授業は全て英語で行われ、授業でのペアあるいはグループワーク、全体のディスカッションもほぼ全てが英語で行われる。専門の授業は、「ライティング指導法」「教室でのインタラクション」「英語の指導法」など専門知識をつけるには必要不可欠な講義が1年次から提供されている。講義時間は2時間程度であり、学生は学習した知識や理論を自分たちの経験に照らし合わせ、クリティカルな視点から検討する時間が十分にある。さらに、教育実習は1年次から行われ、3年次、4年次では8週間の教育実習が課せられている。香港での視察は、これからの日本の英語教員養成課程がどうあるべきかを考えるよい機会となった。