著者
杉〔サキ〕 信吾
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.324, pp.25-39, 1999-09

スタニスラウス・ジョイス(1884-1955)のMy Brother's Keeper(1958:以下MBK)が著者の死により未完のまま出版されていることは周知の通りである。序文を寄せたT. S. エリオットも、編集したR. エルマンも、そのことを惜しんでいる。しかし、エルマンの文中に見る、書かれずに終わったはずのトリエステ時代についての手際の良い要約(「怪しげな友人達、放蕩、そして更に大きな危険であった無気力から、彼が如何に兄を救ったか」)は、実は自らが翌年に出版を控えていたJames Joyce(1959:以下JJ)の予告であったかもしれない。皮肉に過ぎる見方かもしれないが、エルマンにとっては、それまでジョイス伝執筆を競合していたスタニスラウスの死により、彼の日記や兄ジェイムズの書簡を含む貴重な文書の山に分け入る道が開けたことは事実である。

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こんな論文どうですか? スタニスラウス・ジョイスのトリエステ日記--タルサ大学リチャード・エルマン文書より(杉〔サキ〕 信吾),1999 http://t.co/G9bBsyol31

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