- 著者
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西村 美穂
- 出版者
- 明治大学大学院
- 雑誌
- 文学研究論集 文学・史学・地理学 (ISSN:13409174)
- 巻号頁・発行日
- no.12, pp.91-108, 1999
1999年、新年の挨拶とともに、2000年10月にアメリカで開催される国際会議1)の案内と、そしてそれを組織するダニエル・マルタン(Daniel Martin)の「ラブレー『第二之書パンタグリュエル物語』の構想:記憶術検証の試み」Plan du Pantagruel de Rabelais:Essai de mnèmocritiqueという研究報告2)が届けられた。マルタンといえば、マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)で教鞭を執るモンテーニュ(Montaigne、1533~92)の専門家であり、古代レトリック(rhètorique)3)の一つである《記憶術(mnèmotechnie)》4)という観点から、『エセー』Essais(1592)に組み込まれた作家の《人為的記憶(mèmoire artificielle)》を探求、その複雑な作品構想(plan)を解明して成果をあげてきた研究者である5)。