著者
西村 美穂 大森 美津子 森河 佑季
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-35, 2018-03-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
26

本研究の目的は,高齢者に対するスピリチュアルケアを文献より明らかにすることである.文献検索は医学中央雑誌Web版を使用した.「高齢者」,「スピリチュアルケア」をキーワードとした.加えて,老年看護,福祉領域の学会誌からも文献検索を行った.検索対象年は,1970年から2017年までとした.分析は,窪寺のスピリチュアリティの超越性と究極性の考えを参考にし,高齢者に対するスピリチュアルケアが記載されている文章を,文脈を損なわないようにそのまま抽出,要約し,コードとした.そして,コードを意味内容が同じもので類型化しサブカテゴリーにした.さらにサブカテゴリーを類型化しカテゴリーにした.倫理的配慮は,文献の出典を明らかにし,データは可能な限り原典より抽出した.対象となった文献は13件であった.そのうち9件は終末期の高齢者を対象としていた.その他は,腰痛やくも膜下出血等によりADL介助を受けている高齢者を対象とした文献が2件,配偶者と死別した高齢者を対象とした文献が1件,養護老人ホームで生活している高齢者を対象にした文献が1件であった.高齢者に対するスピリチュアルケアは,【超越的存在の支えを感じることができるケア】【拠りどころからの支えを感じることができるケア】【自分の人生に向かう準備を支えるケア】【死や生と向きあうことを支えるケア】【人生の整理を支えるケア】であった.また,スピリチュアリティが覚醒し,よりよい状態にある高齢者に対するスピリチュアルケアは,環境を調整する,傾聴する,沈黙を守る,ユーモアで笑いあうことが行われていた.
著者
西村 美穂
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 文学・史学・地理学 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.12, pp.91-108, 1999

1999年、新年の挨拶とともに、2000年10月にアメリカで開催される国際会議1)の案内と、そしてそれを組織するダニエル・マルタン(Daniel Martin)の「ラブレー『第二之書パンタグリュエル物語』の構想:記憶術検証の試み」Plan du Pantagruel de Rabelais:Essai de mnèmocritiqueという研究報告2)が届けられた。マルタンといえば、マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)で教鞭を執るモンテーニュ(Montaigne、1533~92)の専門家であり、古代レトリック(rhètorique)3)の一つである《記憶術(mnèmotechnie)》4)という観点から、『エセー』Essais(1592)に組み込まれた作家の《人為的記憶(mèmoire artificielle)》を探求、その複雑な作品構想(plan)を解明して成果をあげてきた研究者である5)。