著者
岩佐 満雄
出版者
大阪教育大学発達人間学講座
雑誌
発達人間学論叢 (ISSN:1349628X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.71-84, 1998

『ロビンソン・クル-ソー』をめぐる解釈には様々なものがあるが、その一つに敬虔なピューリタニズムの形象、資本主義の精神を先取するものとして捉えるものがある。本論では、ロビンソン・クルーソーとして描かれた人物の信仰の問題を考察することによって、従来の解釈の一面性を指摘した。また、ロビンソンが、信仰を互酬的応報的に捉えている側面や誠実に思索を重ねている側面に論及した。さらに、改宗の問題を通じて、信仰の非敬虔的側面、改宗における暴力の問題を考察し、他者危害の問題を提示した。最後の生命尊重の問題において、生命それ自体の尊重ということよりも、相手からの危害の有無が重要な論点となっていることを考察した。

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