著者
塚田 秀雄
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.6, pp.p62-77, 1977-12

筆者は前稿で、18世紀、スウェーデン統治下のフィンランドにおいて実施された Isojako 大分割と呼ばれる農地および林地の再編成事業について紹介し、若干の考察を試みた。それは究極的には農家保有耕地の一筆統合によって耕地強制を廃し、合理的な農場経営を実現することを目的としていた。実際には、公的、私的土地所有権の法制的整理や村落共同体の改編などの性格が付随したこともあって、この改革は農民の側の多様な対応を生んだ。この農業革命の進展については、地域的な違いが大きかったが、筆者はその原因を当時のフィンランド農村に行われた農法、林落形態、土地所有形態の地域差、換言すれば、スウェーデン的な南西部とよりスオミ的な東部および北部の間の経済的、社会的な構造上の相違にあることを指摘した。この一般的な考察に対し、別稿では Isojako の最先進地であったヴァーサ県のライビア藪区についてやや具体的にこの土地改革の過程と結果を考えてみた。いずれにしても、その後も継続して行われたこの農業革命を考えるについては、二つの点が看過出来ない重要性を有っている。一つは1809年に至ってフィンランドがスウェーデンの支配を離れて、ロシア皇帝によって統治される大公国となったこと.他の一つは1848年に土地改革の徹底と促進について新しい法律が施行されて,それまでの Isojako に対し、それ以後の事業を Uusjako 新分割と呼ぶに至った点である。従って本稿では、スウェーデンで行われた Enskifte 一筆分割、 Lagaskifte 法分割と対比しながら Uusjako 実施までの、ロシア統治下の Isojako についてまず概観し、次いで1948年以後のUusjakoの進展とその成果について考察する。

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CiNii 論文 -  フィンランドにおける農業革命-2-Uusjako https://t.co/o8yTAaqobT #CiNii

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