著者
岡 通太郎
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
no.1, pp.41-64, 2011-03

本稿は、都市経済の成長が農村貧困層に与える影響について、第一に、農業労賃率を抑制するといわれるカースト制度や農村土着制度の存在を、グジャラート州内59 カ村の一次データから計量的に明らかにすること、第二にそうした農村土着制度が、都市経済の成長によって変容する過程を実態調査から明らかにすることを課題としている。結果、従属変数である各村の農業労賃率が農村土着制度の存在によって低められていること、また多くの村では、非農業就業機会の増加があっても、農村内のカーストを軸とするパトロン・クライアント関係や土着制度が強く残存していること、ただし村の貧困層の6 割以上が非農業部門へ就業するという大規模な労働力シフトが生じ、貧困層の心理的な要素をも含めたパトロンへの依存関係が消滅すれば、農村土着制度も変容・消滅することが明らかとなった。

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