著者
集治 善博 Shuji Yoshihiro
出版者
新潟大学農学部
雑誌
新潟大学農学部研究報告
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.109-113, 2005-03

著者は、これまで牛と人間の関係に関する一連の研究を行ってきた。特に、従来この分野の研究において用いられてきた調査方法は、近づく人間に対する牛の反応すなわち受動的な反応であると考えられる。一方、一般に牛の日常管理に携わる中では、搾乳牛が自発的に人間に接近したり接触したりするのを経験する事も多い。これらの行動は、牛が自発的に人間に関わろうとする性質であると考えられるが、このような観点から牛の人間に対する行動を調査した研究は少ない。さこで、今回は、搾乳牛の人間に対する行動を、能動的なものと受動的なものに分け、同時平行的に調査する研究を実施した。新潟大学農学部村松ステーションの搾乳牛16頭を用いた。牛の能動的対人行動の測定として、ひとりの人間が放牧地の定点に腰をおろし、その間に人間に対して近づく、においを嗅ぐ、鼻で接触する、舐める・擦り付けるなどの行動をビデオカメラで撮影した。一方、受動的対人反応は、同じひとりの人間が放牧地を歩き回り、正面から近づき目前に停止した状態になったときの各個体の反応をビデオカメラに記録した。結果はつぎのとおりである。能動的対人行動としては、直前を通過する、接触可能な距離に近づく、人間のにおいを嗅ぐ、鼻で接触する、舐める・擦り付けるといった行動がみられた。全体としては、通過や近づく割合が大きく、接触をともなう行動の頻度割合は40%程度であった。これを個体ごとにみると、全体の頻度に大きな個体差があるだけでなく、その出現割合にも大きな個体差がみられた。一方の、受動的対人反応としては、少し(手の届かない距離に)逃避する、顔面を背ける(位置の変化はない)、無反応、においを嗅ぐ、鼻で接触する、舐める・擦り付ける等の反応が見られた。みのうち無反応の頻度が最も大きく、全体の約半分を占めた。接触をともなう反応は全体の2割程度に留まった。その頻度や出現割合には個体差が大きかった。また、反すう時や食草時には無反応の割合が多く、佇立休息時には何らかの反応を示す割合が高かった。各個体の能動的対人行動と受動的対人反応を数値化し関係を調べたところ、両者には正の相関関係があるが、必ずしも強いとは言えなかった。そこで、両者に共通して見られた反応である、嗅ぐ、鼻で接触する、舐める・擦り付けるの3つの項目の相関を求めたところ、嗅ぎと鼻での接触では相関が小さく、舐め・擦り付けでは有意な正の相関関係がみられた。このように、搾乳牛の能動的対人行動と受動的対人反応は総じて関連しあっているが、やや異なった意味をもつ性質であるとも考えられた。Cattle are not only passivity to the human, and they act voluntarily. Many researchs of the relations of the cattle and human were only passivity behaviour. So, voluntary behaviour was examined to a human of the milking cows, and relation with the passivity behaviour was studied. Behaviour to one human, like thier nanny, of 16 milking cows of Niigata university Muramatsu Station were examined. The behaviour which cows showed voluntarily was examined to a human being who sat on the pasture. And, the behaviour which cows showed were examined to a human who stood up in thier imminence. Furthermore, relation between the voluntary behaviour and the passivity behaviour of each individual were examined. As a voluntary behaviour, crossing, approaching, smelling, licking and it rubbing to the human were seen. Though various behaviour was done toward the human, it came at all and near, and the individual if it was not was in the active individual, too. And, as a passivity behaviour, avoiding, touching with nose, licking and it rubbing the human were seen. As for the cattle, half of nothing reacted to about at passive opportunity. The correlation of the synthetic evaluation of the voluntary behaviour of each individual and the passivity behaviour wasn't necessarily strong. But, it was rubbing and licking, and well both corresponded well. The nature which avoided the more active nature which acts voluntarily and a human being was extracted as a result of the factor analysis. In other words, a cattle has the nature that let's involve not only passivity but also a human being actively.

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こんな論文どうですか? 搾乳牛における能動的対人行動と受動的対人反応(集治 善博ほか),2005 https://t.co/R96C3Qc2Mb
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