著者
濱田 弘潤 Hamada Kojun
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.15-52, 2010-09

本論文は,クールノー競争が行われている同質財寡占市場において,不確実性が発生するタイミングの違いによって3つの異なる不確実性の状況を想定し,不確実性が企業の期待利潤に与える影響について考察を行う.3つの異なる不確実性の下で生じるクールノー均衡を導出し,企業の事前の期待利潤を計算し比較することで,情報構造の違いと期待利潤との関係について明らかにする.また需要の不確実性と費用の不確実性をそれぞれ分析し期待利潤を比較することで,需要情報と費用情報が同じ情報価値を持っているかどうかについて検討する.一見した限りでは,不確実性の存在とその増加は寡占企業の期待利潤を減少させるように見受けられる.本論文ではこうした直感に反して,事前の不確実性の下では不確実性が増加するのに従い,企業の期待利潤が増加することが示される.

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