著者
岡本 祐子
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.12, pp.285-304, 2012

Erikson, Rapaport, Will など,数多くの精神分析家が臨床と研究に携わったAusten Riggs Center の臨床活動について紹介し,その特質と世代継承性について考察した。Riggs の臨床は,①心理力動的オリエンテーション(psychodynamic approach)による集中した心理療法(intensive psychotherapy),②チーム治療(team therapy)と治療共同体(therapeutic community),③活動プログラム(activity program), ④患者の尊厳の尊重(patients' authority)が特徴的である。この基本方針は,第二次世界大戦後60 年余にわたって継承されており,精神病圏・人格障害圏の重い病理水準の患者を対象としているにも関わらず,60~80%以上の治癒率という高い治療実績を有している。また,スーパーヴィジョンを通じて質の高い力動的心理療法が次世代に継承されてきた。現在,世代交代期にあるRiggs の課題について論じた。

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