- 著者
-
前田 潤
- 出版者
- 室蘭認知科学研究会
- 雑誌
- 認知科学研究
- 巻号頁・発行日
- no.1, pp.41-52, 2002
ヤコブ・モレノが創始したサイコドラマで用いる技法は、基本的には独白、ロールリバース、ダブル、ミラーの4 つである。この技法を駆使することによって主役や観衆をカタルシスに至らせ、主役に新たな役割が創出されることを目的にサイコドラマは行われるのである。この小論では主役の新たな役割の創出と呼ばれる事態を、現象そのものに立ち返って学習理論の立場から捉え直すことで、サイコドラマ技法がサイコドラマで果たしている機能について検討した。この検討からロールリバース技法は、学習理論において学習Ⅱと言われる学習形態を促進する働きとして捉えられることを指摘した。