著者
久場 美南子
出版者
比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター
雑誌
心理相談センター年報
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-46, 2005

パラノイド傾向とは被害者意識を強く感じる傾向が強いということであり、先行研究で、はパラノイド傾向のあるものは他者に攻撃的に見られやすいとしている。そこで本研究では、パラノイド傾向者がどのように悪意を認知し、怒りを喚起させているのか、そしてその表出方法を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、パラノイド傾向者は最近あった怒り場面を思い出させた場合、その時の怒りの程度に大きな差は見られなかったが、怒りの表出方法に関して理性的な説得を行う一方で直接非言語的攻撃を行うことが示された。また場面想定法による怒り反応の検討の結果、出来事や悪意の帰属、被害者,意識に違いが見られ、パラノイド得点が高いほど、自分が加害者の場面で怒りを喚起しやすく、自分が被害者だと捉える傾向があった。そして高パラノイド傾向者は、相手の反応を悪怠に捉えやすく、出来事の理由を不当なものと感じやすいことが示された。

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