著者
深田 成子
出版者
比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター
雑誌
心理相談センター年報
巻号頁・発行日
no.1, pp.27-31, 2005

授業内容をどうすればできるだけ多くの学生にきちんと理解させることができるかという視点から、教えることを通して学生の資質を考えたとき、現代の大学生は、次のような資質の傾向を持っているので、教師が教えるときにうまくいかないのではないかという問題提起を行った。その傾向とは、①私語は注意しなければ学生自ら止めることはない、②考えない大学生という問題提起は以前からなされてきたが、考えなくても平気でいられる大学生が増えてきており、それには教師にとっては常識なので、当然わかっているはずと考えていたものが身についていないために起こるのではないか、③授業に出席してその場にいても、平気で情報を自らスイッチoffにしてしまうので、教師の指示が伝わらず、個別に指示しないと簡単なこともできないのではないか、しかも、④プライドの高さと自信のなさというアンバランスな傾向をかかえているので、本気で努力をしたり、評価を受けることを嫌うのではないか、である。
著者
久場 美南子
出版者
比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター
雑誌
心理相談センター年報
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-46, 2005

パラノイド傾向とは被害者意識を強く感じる傾向が強いということであり、先行研究で、はパラノイド傾向のあるものは他者に攻撃的に見られやすいとしている。そこで本研究では、パラノイド傾向者がどのように悪意を認知し、怒りを喚起させているのか、そしてその表出方法を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、パラノイド傾向者は最近あった怒り場面を思い出させた場合、その時の怒りの程度に大きな差は見られなかったが、怒りの表出方法に関して理性的な説得を行う一方で直接非言語的攻撃を行うことが示された。また場面想定法による怒り反応の検討の結果、出来事や悪意の帰属、被害者,意識に違いが見られ、パラノイド得点が高いほど、自分が加害者の場面で怒りを喚起しやすく、自分が被害者だと捉える傾向があった。そして高パラノイド傾向者は、相手の反応を悪怠に捉えやすく、出来事の理由を不当なものと感じやすいことが示された。
著者
新宅 博明 Shintaku Hiroaki シンタク ヒロアキ
出版者
比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター
雑誌
心理相談センター年報
巻号頁・発行日
vol.1, pp.19-26, 2012-01-06

わが国では、児童虐待現象が約10年前から急速に社会問題化した。平成16年4月14日には「児童虐待の防止に関する法律」の見直し改正が行われ、同年10月l日施行された。 国としての対策は2期目に入ったといえる。この時期に当たり、児童虐待の歴史的経過や件数急増の背景を紹介し、ついで、統計数値からの意味と児童虐待の四つの類型を、筆者の児童相談所での職務経験を踏まえて解説する。さらに、解決への課題を列記し、今後の方向性を考える。なお、現象の理解を深める意味で、以下に、いくつかの事例を紹介しているが、プライバシ一保護と特定化を避けるため、アレンジしであることをあらかじめお断りしておく。