著者
近藤 富美子 谷口 弘美
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.9, pp.131-154, 2008

アメリカ人と関わった日本人の間に、「アメリカ人はなかなか謝らない」という定説がある。この考えが本当に存在するとすれば、日本人にそう思わせる原因がどこにあるかを探ってみた。その原因となる仮説を4つ挙げたが、本研究ではそのうちの一つ、「謝罪方法の解釈の仕方と受け取り方が異なる」という説に焦点をあて、日米両国においてアンケート調査を行った。文化的に独特の解釈の仕方を行うものは一つしかなかった。また、おもしろいことに、単一の解釈の仕方をするものは、謝罪を受ける側の責任を問う戦略しかなかった。残りの間接謝罪方法では、解釈の仕方は日米双方とも複数あり、内容からみた解釈の仕方は同じであった。異なる点があるのは、謝罪方法が適切あるいは不適切と考える人数であった。例えば謝罪方法「説明」において、単純な説明を多くの日本人は適切としたのに対し、多くのアメリカ人は不適切とした。反対に間違いをおこした自分の立場を説明する場合、多くの日本人はこれを「言い訳」とみなし不適切とし、多くのアメリカ人は「丁寧な説明」とみなし、適切とした。これを「丁寧な説明」とみなす日本人は少数であった。こうした間接謝罪における受け取り方の違いが、上記定説の原因の一部であることが判明した。

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