著者
岩城 達也 宮崎 龍二
出版者
広島国際大学心理科学部
雑誌
広島国際大学心理科学部紀要 = The bulletin of Faculty of Psychological Science, Hiroshima International University (ISSN:21883734)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-24, 2013

幼児のもつ形態的特徴は可愛らしいという印象をもたらし,その結果幼児を守ってあげたいという保護欲求を喚起する.本研究では,こうした幼体図式における顔特徴,特に眼の形状を操作することで可愛らしさ評価に決定的な物理特徴があることを実証しようと試みた.実験1では,眼の形状特性として, 1)大きさ, 2)両眼間距離,および3)縦横比を5段階的で操作し,これに伴う可愛らしさ評価の違いを検討した.刺激は幼児及び犬の顔写真とスケッチ画像とした.その結果,操作段階に伴う可愛らしさ評価には明瞭なピークがあり,そのピークは形状特性によって異なっていた.これらの結果を確認するために実験2では犬の写真,スケッチにイラストを加え,それぞれの眼の形状操作を7段階に増やした.完験2の結果はほぼ実験1の結果を支持していた.これらのことは,眼の形状に限ってみても可愛らしさを知覚させる物理的制約が存在することを示唆した.また,写真とスケッチ及びイラストの間で制約の範囲が変化したことから,可愛らしさの音刊面プロセスにはリアリティといったトップダウン的な処理が関与していると考えられた.

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