著者
田中 裕理
出版者
富山大学比較文学会
雑誌
富大比較文学
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-26, 2013-12

『琵琶伝』は泉鏡花により,尾崎紅葉の『やまと昭君』を先行作品としてかかれた小説である。二年前に『琵琶伝』を扱い「夢・幻想」の観点から鸚鵡の登場による効果を考察し、『琵琶伝』は「観念小説」ではなく「幻想小説」であることを論じようと試みた。今回はその逆で『琵琶伝』は「幻想小説」ではないという論を進めていきたいと思う。「大衆と国家」や「家族と親族」などの観点から、社会の状況、婚姻制度や鏡花の恋愛・結婚観について見ていくことを通して『琵琶伝』における主題とは一体何であるのかを考察したい。

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